壁画、文字?
●壁画 | ||
テオティワカンでは、「死者の通り」に面した建造物や集合住宅群の建造物の壁に様々な壁画あるいは壁画の痕跡が見られる。当時は、建造物の基壇及び上部の神殿に漆喰が塗られ、彩色され、時には壁画が描かれていたと考えられる。コパン遺跡で、埋葬された状態で発見されたロサリラ神殿の例でも神殿全体が赤で塗られ、レリーフ像には緑や黄色、白で彩色されている。テオティワカンでも基壇部分を含む神殿の漆喰の上には、赤色が塗られていたのだろう。 壁画には下記に示すような主なモチーフが見られる。 |
||
1)人物像: 戦士の人物像、普通の人物像 2)動物: コヨーテ、狼、ジャガー、ピューマ 3)鳥: 鷲、梟、鳥、蝶 4)植物: 花、植物、マゲイ 5)魚貝類: 魚、貝 6)その他: 羽毛の蛇、幾何学文様、金星、神殿 |
||
実際の壁画では、動物が単独で描かれたり、幾何学文様や他のモチーフと組み合わされて描かれる。色は、赤、緑、黄、白、黒、青、など使用されている。 | ||
図3-5-1 ↓ |
||
![]() |
●図3-5-1、3-5-2の壁画 | ||
図3-5-1は、1960-1962年に発見され、死者の通りに面した基壇16番のタブレロ部分に描かれた壁画である。大きさは、横430cm、縦210cmで幾何学文様と共に一匹のピューマが描かれている。 図3-5-2は、集合住宅群のテティトラの壁画であ る。大きさは、横200cm、縦95cmで鷲が描かれて いる。 2001年には、「月のピラミッド」の西側に、壁画博物館が開館し、テオティワカンで発見された主要な壁画が展示されている。 |
||
図3-5-2 ↓ |
||
![]() |
||
●文字? | |
シウダデラから西に500m程の所に、ラ・ベンティジャの集合住宅がある。メキシコの考古学者ルベン・カブレラの調査隊は、1992年から1994年までこの地域を調査し、42の文字と考えられる図像を発見した(Cabrera
2000)。これらの文字は、集合住宅の一つの化粧漆喰を塗られた広場の床面や小さな祭壇の上に規則正しく描かれていた。 これらの文字は、人の顔、動物の頭部、建物、円などのシンボル、等に分類できる。これらの文字が書かれたのは、ショラルパン期のはじめ頃と推測される。図3-5-3は、鳥の形をした文字で、3つの円が付属している。 これらの図像が本当に文字として機能していたかどうか、さらに検討する余地があるが、テオティワカンには文字は無かったと言われていたので象形文字らしいシンボルが発見された意義は大きい。 |
|
図3-5-3 → |
![]() |