土器、香炉
●土器 | |
テオティワカンの土器は、装飾の無いシンプルな土器から図3-6-2で見られるような複雑な装飾を施したものまであり、それぞれの時期によって特徴がある(詳細は4回目の講座参照)。 実用土器は、壺や皿や鉢などの器種があるが、三足付きシリンダー状鉢は、儀式用の土器として製作されたと考えられている。四角い大型の三足は、ショラルパン期に出現する。 図3-6-1の三足付きシリンダー状鉢は、典型的なショラルパン期の儀式用(あるいは、副葬品用)の土器で、この他にも黒色で研磨された土器、刻文やレリーフの装飾のある土器などがある。 |
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図3-6-1 → |
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●化粧漆喰の上に彩色された土器 | ||
化粧漆喰が塗られ、その上に彩色された土器はメソアメリカの各地で見られるが、テオティワカンの土器はそれらの中でも最も優れている。土器の器種や文様に様々種類があるが、器種としてはやや器高の低いシリンダー状の鉢で蓋が付属するのが一般的である。 これらの土器は、ショラルパン期からメテペック期にかけて作られた。文様としては壁画と同様に、鳥、蝶、戦士などが描かれる。 また、テオティワカンの影響を受けた地域からも、テオティワカン様式の三足付きシリンダー状鉢が王墓の副葬品などとして出土する。 |
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図3-6-2 ↓ |
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●香炉 | |
テオティワカンの香炉はパトラチケ期からあるが、図3-6-3のようなシアター・タイプの香炉はショラルパン期に多く出土する。これは、集合住宅の発達と関係している。すなわち、集合住宅は、なんらかの関係ある一族が集団で生活していた場所と考えられているので、一族のシンボルとしてシアター・タイプの香炉が使用された可能性がある。この香炉は、小さな個々のパーツを組み合わせて飾りの部分を作り、その中に人物が配置される(ちょうど、「ステージの中にいる人物」のように見えるのでこの名称がつけられた)。装飾部分のパーツは、花、貝、蝶、鳥、羽毛を持つ丸飾り等が一般的である。これらの装飾パーツは別々に作られ、最終的には様々に組み合わされて香炉の装飾となるので一つとして同じ組み合わせの香炉はない。シウダデラ周辺から、このタイプの香炉の製作場の跡が発見されている。 | |
図3-6-3 → |
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