マヤの建造物


●基本構造
 マヤの建築は、基本的には3つの部分から構成されている。
(1)プラットフォームまたは基壇(図6-4-1のCの部分)
  これは建造物の土台の部分である。石と土で作られる。パレンケのパカル王の墓は、この基壇の部分に部屋からアクセスするための階段がつくられ、最下部に墓室が作られた。
(2)神殿(図6-4-1のBの部分)
基壇の上に作られた建造物で様々な儀式が執り行なわれた。パレンケでは、建造物の壁にマヤ文字のパネルや王位継承の儀礼を執り行なった図像がはめ込まれている。コパンなどでは、合議制の政治を行なった場所と考えられている建造物もある。
(3)屋根飾り(図6-4-1のAの部分)
屋根の上に取り付けられた屋根飾りである。取り付けられる場所や装飾技法に地方差がある。ティカルなどでは、屋根の後方部に屋根飾りがあり透かしもない。一方、パレンケでは、屋根の中央部に取り付けられ、透かしも施された。
図6-4-1



●パレンケの事例
 パレンケ遺跡の神殿の特徴は、屋根飾りが透かし構造になっており、このため屋根飾りの重量が軽減されている。また、屋根飾りは屋根の中央部に配置されるため、屋根全体の重さが四方の壁に均等に配分されるので、入り口の幅も広く高さも高い建造物になっている。このため、部屋の中も明るい(図6-4-2)。
図6-4-2


●プーク様式
 プーク様式は、ユカタン半島の北部、ウシュマルやサイル、カバー遺跡で古典期の終末期ごろに発達した建築様式である。この様式の特徴は、屋根が平たく、長い建物の壁に何枚のも小さな石に彫刻をし、それを組み合わせて装飾しているいわゆるモザイク装飾が見られることである(図6-4-3)。装飾のテーマは、幾何学文様や雨の神チャックであり、長い建造物ではいくつかの部屋に分かれ、それぞれの部屋に出入り口がある。天井は擬似アーチの天井である。
 図6-4-3
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